サニーサイド・リバースサイド・スーサイド

 

「自殺社会」から「生き心地の良い社会」へ (講談社文庫)

「自殺社会」から「生き心地の良い社会」へ (講談社文庫)

 

自らの命を絶った本人にとって それが「自殺によって終わる苦しみ」であっても

遺された家族にとっては「自殺から始まる苦しみや悲しみ」もあるのだという

 

家族を自殺で失った「自死遺児」の中には

日常生活の中で「楽しい」「おいしい」「嬉しい」と思った瞬間に

「家族の自殺を止められなかったこんな自分が、『おいしい』等と

一瞬でも思っていいのか」といった強烈な罪悪感に襲われる人が少なくないのだという

 

「ご飯がおいしいな」「インターネットは便利で楽しいな」「うちの猫はかわいいな」

などという、ともするとそれを日常のなかで空気の存在の如く

当たり前である事として看過しかねないような感情さえも、

抱いて平気な顔をしてはいられなくなってしまう

 

そんな事が誰の身にも起こりうるのだと…

 

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「年間数万人という自殺者を発生させているこの国この社会が

いかにクレイジーで異常で病んでいるか」を世界的視点で語り、

諸問題にズバっとメスを入れてゆく

 

重いテーマながらも、対談形式で進む文章は案外さくさく読めてしまう一冊

良い本です

 

大人たちが唱える

「勉強を頑張ればいい大学に入れて、いい会社に入れていい嫁さんをもらえる」

といった幸福論がマヤカシだと気づいて高校を1年生で中退するという

著者の洞察力、行動力たるや!